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わたしの目の前にはしかめっつらをしたわたしのお父さんくらいの年の男性警官と、彼よりずいぶんと若い男性警官がイスに座っていた。
ここは視聴覚室だ。警察側が事情聴収をしたいと、一部屋学校側が提供することになったらしい。
もっとも教室は出入り禁止になり、わたしたちは理科室で待機することになった。そして、出席番号順に呼ばれ、話を聞かされていた。
わたしが質問に答えると、彼らは顔を曇らせた。
「君も黒髪の少女を見た、と」
「本当なんです。わたしたちを殺しに来たと言っていました」
「クラスメイトを庇いたい気持ちもわかるが、このままだと相手のためにもならないよ」
「本当にそうなんです」
わたしはそう繰り返すしかなかった。
だって、本当にそうだったのだ。
それ以上警察はわたしから何も聞けないと思ったのか、教室に帰っていいと言ってくれた。
視聴覚室を出ると、
誰も信じてくれない。当然といえば当然だろう。
だって、わたしだったら信じない。
見知らぬ少女が入ってきて、凶器も使わずクラスメイトを殺したなど。
「教室に戻っておいていいよ。また何かあったら事情を聴くかもしれないから、そのときはよろしく頼むよ」
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