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味は相変わらずよく分からないものの……口をもぐもぐさせながら、もう一度瀬戸君を見る為に、逸らした目線を戻す。
「前にさ、一緒に昼食べた時も、こうして弁当の交換……したよな?」
喋りながら、何故か瀬戸君が僕の眼鏡を取り上げた。
僕は身動きが取れなかったけど、返事だけした。
「う、ん……」
瀬戸君も……一緒にお昼食べた時の事、思い出してくれたんだね。
それを聞いて、嬉しくなったけど、全然落ち着かない。
だって……瀬戸君との距離が、凄く近くなってるから。
気付けば瀬戸君は、左手を僕の顔の横の壁に付けていて、さっきよりも顔が近付いてる。
「あの時さ……俺が渡したメロンパン、優……美味しそうに食べてたな」
「う、ん……美味しかったよ」
「けど……その後さ、パンから離した優の口から唾液の糸が伸びて、すげー美味そうだった」
「あ……せと、くん」
見られてないと思ってたのに、あの時、瀬戸君に見られてたんだ!
どうしよう……昔の事なのに、凄く恥ずかしい……!
「あの時、俺は優にこうしたくて……たまんなかったんだ」
「っ……んっ、んんんっ……!」
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