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だから、一回触ったら僕の胸がぺったんこなの分かるのに……こうして何回も撫でてくるの?
そう思い出すと、さっきまで気持ちいいと思ってたキスも悲しくなって、早く止めて欲しくなってしまった。
だから、僕は瀬戸君の胸元に手を置いて、離れようとする。
「ん……優?」
僕の変化に気付いてくれた瀬戸君は、唇をあっさり離して、僕の顔を覗き込んできた。
「な、に……?」
「優、どうした? キス、嫌だった?」
「……」
聞かれて、何も答えられない。
嫌じゃなかったけど、嫌だったから。
「優? 何で……泣きそうなの?」
続けて言われて、また答えられない。
だって……嫌だよ。
瀬戸君とキスしてるのは僕なのに、頭の中で女の子を想像されてるんだもん。
「なぁ……どうした? 言ってくれなきゃ分かんないんだけど」
両手で僕の顔を包んでジッと見つめてきた瀬戸君。
その心配そうな目を見た瞬間、僕はやっと決意をして、口を開いた。
「だって……嫌、なんだもん。僕、女の子じゃ、無いのに……」
言いながら、目が涙で潤んできてしまった。
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