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放課後の教室で、初めて瀬戸君にキスされた時は怖かったのに……とても不思議。
今は、キスされないと……逆に悲しくなって、不安になっちゃう。
暫く触れあってた唇が離れて、僕は閉じてた目をゆっくり開けた。
「はぁー、もう、このまま連れて帰りてぇな……」
蕩ける様な笑顔を向けた瀬戸君は、今度は僕の頭を抱き締める様にして、くっついてきた。
「せと、くん……」
僕も離れたくなくて、瀬戸君の胸に顔を埋める状態のまま、大人しくする。
「あ……そろそろ筒井が来る頃かな?」
「……そう、だね」
瀬戸君の腕が離れて、僕もくっつけていた身体を離す。
朝は好きだけど……この時間は好きじゃない。
僕はいつから、こんなにわがままになっちゃったんだろう……?
「あ……そうだ、優」
さっきまであんなに身近に感じた瀬戸君の温もりが離れてしまって、寂しいと思いながらも、自分の席に座って教科書を出していると、瀬戸君に声をかけられて、顔を上げる。
「何?」
「あのさ……今日の昼、一緒に屋上で食べよ?」
ニコッと笑いかけられ、僕はそのまま頷いた。
「やった」
瀬戸君の嬉しそうな顔を見て、僕も嬉しくなる。
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