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僕のお弁当を見て、瀬戸君が言ったのを聞きながら、何だか懐かしくなった。
初めて瀬戸君と一緒にお昼を食べた時、僕の卵焼きが美味しそうって言ってくれたから、あの時も交換して食べたんだよね。
再びこうして出来るのが嬉しくなって、僕は前の時と同じく、瀬戸君が取りやすい様にお弁当を近づけた。
「あー、違う、違う。優が、俺に食べさせて?」
「え……?」
前と同じで、指でつまむんだと思ってたのに、そんなお願いをされてしまい、顔が赤くなる。
僕が、瀬戸君に食べさせるの……?
なんか、恋人みたい……。
あ! みたいじゃなくて、恋人なんだった。
僕達、付き合ってるんだから……恥ずかしがってちゃ駄目だよね?
よしっ! と決めると僕はからあげを箸で掴んで、瀬戸君の口元へ近づけていく。
「瀬戸君……はい、口開けて……」
「ん」
「はい、あーん」
人に食べさせるのなんて、初めてだから……慣れない感覚にむずがゆくなる。
けど、口へ放り込んだら、瀬戸君が嬉しそうに唐揚げを食べてくれたから、僕まで嬉しくなってしまった。
「優、有難う。この唐揚げ、すっげーうまい」
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