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「俺は…弱えぇな。」
「……」
握りしめた拳を見つめるエイジ。
「エイジ、俺を殺してくれ…」
「何言ってんすか!こんな時に!」
「リカは…もう目を覚まさないかもしんねー。」
「っ!!」
虚ろな目で宙を掴むカイ。
「俺のせいで…リカは自分から通り魔に刺されに行った。」
「えっ?」
「何やってんだろうな、俺は。大事にしたいのに…傷つけて、追いやって…自分を苦しめて、楽しんでる…」
「楽しむ…?」
「苦痛と痛みの中にいないと…どうにかなりそうなんだ。」
「カイさん…」
「…楽になりてぇ。」
「そんなん…逃げてるだけじゃないっすか!どうして向き合わないんすか!」
「俺は…人殺しだから、リカと明るい道なんて歩けねぇ。」
カイの胸ぐらを掴むエイジ。
「いつまで過去に囚われてるんすか!そんなん仕方ないじゃないっすか!まだ子供だったし…生きる為には仕方なかった筈です。今は前を向いて…」
「前なんて向けねぇんだ。」
「それじゃあずっと後ろ向きで歩くんすか!一生このまま苦しむ為に生きるんすか!」
「ああ…」
「俺はそんなカイさん見たくないっす!」
「……」
「…もうこんな物に頼んないで下さい。じゃなきゃ俺が警察に突き出します。」
ポケットから携帯を取り出し床に置くと立ち上がるエイジ。
「エイジ…」
「…殴ってすみませんでした。」
部屋を出ていくエイジを見つめるカイ。
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