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「ほーら!リカの好きなメロンだよー!」
「おばちゃんありがとう~!いただきまーす!」
「それ食べたらお薬飲んで、検査に行こうね~。」
「はーい!」
赤肉メロンを頬張るリカ。
口の周りを果汁でベタベタにして笑顔を見せる。
まるで園児のような行動と言動。
薬を飲み数分後には眠りにつくリカ。
車椅子に座らされると病室から精神科へと運ばれる。
「先生…お願いいたします。」
車椅子を押したマチが心配そうに医師を見つめる。
「はい、お願いします。」
医師がリカに向き合うと手を叩く。
「リカちゃん、聞こえますか?」
身動きもせず、目を閉じたままのリカの口元が動く。
「はーい。」
「リカちゃんはいくつですか?」
「4さーい。」
指を四本立てるリカ。
「リカちゃんは4才じゃなく17歳だよ。思い出せるかな?」
「……」
眉間に皺を寄せるリカ。
「先生…」
マチはリカの手を握る。
「…や…だ…」
突然血走った目で吠えるように悲鳴をあげるリカ。
「やだっ!やだ!お母さんやめて!熱いよ!痛いよー!」
「リカ…!先生っ!」
車椅子から転げ落ち叫ぶリカを抑えるマチ。
「リカちゃん、お母さんはもういないよ。ほら、よく見てごらん。」
両手で顔を覆ったリカが指の隙間から前を覗く。
「…せん…せ~…」
顔を上げ辺りを見回すリカ。
「…おばちゃん…抱っこして~。」
マチはリカを抱き起こし車椅子に座らせる。
「おばちゃん、髪の毛結んで~。」
医師はマチに頷く。
「リカ…髪の毛伸びたら可愛く結んであげるね。」
「ええ~っ、やだぁ!ウサギさんみたいに結んで~。」
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