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「強くなりたいと…貴方の首にタトゥーが彫ってありますね。」
カイは自分の首のタトゥーに触れる。
「なりたい自分になる為に、前向きな考え方や感じ方を少しずつでいいので身につけましょう。それが必ず貴方の生きる力になります。もう、自分を苦しめるのはやめましょう。」
「…できますか?俺に…」
「できます!自分を傷つけて苦しめるのをやめれば、前に進めますよ。貴方は優しすぎる。」
「…?俺が?」
「誰かが傷つくこと、苦しむことを何もかも自分のせいにして、自分を責め続ける人生はやめにしましょう。人間は誰もが弱く、その人生は儚いものです。言ってみれば生きている方が辛く苦しい旅なのです。与えられた旅の中で出会った人間に必要とされること、大切に思われることこそが貴方の価値です。」
「……誰にも、必要とされなかったら?」
「必要とされたいと、大切に思われたいと奮闘してください。」
「……」
「貴方の価値に気づいていないのは貴方だけなのかもしれません。貴方の周りに本気で怒ってくれた人や、涙を流してくれた人はいませんか?」
「…います。」
「その人達に必要とされていると思いませんか?」
「……」
「貴方はその人達を必要とし、大切にしたいと思いませんか?」
「俺なんかに…そんな希望持っていいのか…」
「自分が犯した罪を悔いるのは悪いことではありません。でも貴方はそれを言い訳に逃げているだけです。大切な人達と向き合う勇気と覚悟が足りないのです。」
唇を噛み締め繋がれた両手を睨む。
「…どうすればいい…」
「大丈夫です。ゆっくり時間をかけて進みましょう。」
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