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「リカ、野菜もちゃんと食べなさい。」
「ふふふっ、お母さんと同じこと言う~!」
「心配してるんだよ、少し痩せたみたいだし。」
お父さんがピーマンと人参を私の皿に移す。
「ピーマン…」
眉間に皺を寄せる私のおでこを指で押すお父さん。
「何か…悩みでもあるのか?」
「今はピーマンと戦う以外の悩みはないよ~。」
「ははは…」
優しく笑うお父さんはいつも通りなのに、心の中がモヤモヤする。
「お父さん…」
「うん?」
何を聞こうとしているのか…自分でも迷う。
「リカ、こっちに来て…昔の知り合いや友達に会ったりしなかった?」
「うん…私のこと知ってるって人に会ったけど…特に何もないよ。」
「それは男の子か?」
「んーん、小学校から一緒だったって子。」
「…そうか。」
私の目をじっと見つめるお父さん。
「好きな人はいないの?」
「えっ?!いないよ!」
「ははは、寂しいなぁ~。」
「ええっ、そこはいなくて安心するとこじゃないの?」
「恋愛することは悪いことじゃない。もしも…自分の火傷の跡のことを気にして恋愛ができないなら…」
真剣な目で語りかけるお父さんの顔をじっと見つめる。
「そんな恋愛ならしなくてもいい。リカを信じて、全てを理解してくれる人に出会ったら…心を開いてもいいと思うよ。」
「お父さん…」
うんと頷くお父さん。
「ほら、早くピーマン食べなさい。食べるまで帰さないからな。」
「うぇーっ!」
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