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「はぁーぁ、終わったぁー!」
ぷっと吹き出して郁子の顔を眺める。
「リカのおかげでなんとかレポート仕上げられたぁ!ありがとうリカーっ!」
徐に抱きついてくる郁子に溜息をつく。
「ほら、早く提出してきなよー。」
「うん、行ってくる!待っててね!」
「はいはーい。」
駆けていく郁子の後ろ姿を見届けると机に突っ伏した。
その机をコンコンと叩く音に顔を上げる。
「後藤…?」
「?…はい。」
「やっぱりか、久しぶりだな。」
馴れ馴れしく隣に座る眼鏡の男。
「元気そうで安心した。」
「…あの…」
「あれから色々考えて大学に戻ったんだ。まあ、お前のお陰ってとこもあるけどな。」
「あの…」
「どうした?」
「誰ですか?」
「は?」
眼鏡をかけ直す男。
「後藤…リカだろ?」
「はい。」
「俺のこと忘れたの?」
「すみません…」
目をパチクリさせる男。
「補習…付き合っただろ?」
「補習…ですか?」
また昔の自分を知る人間か…。
「後藤…お前、あれから何があったんだ?」
「……すみません、お話したくありません。」
立ち上がる私の手首を掴む男。
「待って。」
「あの…」
カバンから何やら取り出す男。
机にCDと何枚かのレポート用紙を置く。
「これ、覚えてないか?」
「その…CD…」
cBaのCDだ。
「どうしてそれを?」
「お前…どうかしたのか?」
「私は…」
「リカー、お待たせー!」
郁子が駆けてくる。
「あれ?竹内講師?」
二人で郁子の顔を見上げる。
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