In order to become stronger

15/18
前へ
/37ページ
次へ
「はぁーぁ、終わったぁー!」 ぷっと吹き出して郁子の顔を眺める。 「リカのおかげでなんとかレポート仕上げられたぁ!ありがとうリカーっ!」 徐に抱きついてくる郁子に溜息をつく。 「ほら、早く提出してきなよー。」 「うん、行ってくる!待っててね!」 「はいはーい。」 駆けていく郁子の後ろ姿を見届けると机に突っ伏した。 その机をコンコンと叩く音に顔を上げる。 「後藤…?」 「?…はい。」 「やっぱりか、久しぶりだな。」 馴れ馴れしく隣に座る眼鏡の男。 「元気そうで安心した。」 「…あの…」 「あれから色々考えて大学に戻ったんだ。まあ、お前のお陰ってとこもあるけどな。」 「あの…」 「どうした?」 「誰ですか?」 「は?」 眼鏡をかけ直す男。 「後藤…リカだろ?」 「はい。」 「俺のこと忘れたの?」 「すみません…」 目をパチクリさせる男。 「補習…付き合っただろ?」 「補習…ですか?」 また昔の自分を知る人間か…。 「後藤…お前、あれから何があったんだ?」 「……すみません、お話したくありません。」 立ち上がる私の手首を掴む男。 「待って。」 「あの…」 カバンから何やら取り出す男。 机にCDと何枚かのレポート用紙を置く。 「これ、覚えてないか?」 「その…CD…」 cBaのCDだ。 「どうしてそれを?」 「お前…どうかしたのか?」 「私は…」 「リカー、お待たせー!」 郁子が駆けてくる。 「あれ?竹内講師?」 二人で郁子の顔を見上げる。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加