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「ちょっと!何言ってるんですか?」
呆然とする私と郁子。
口元に笑みを浮かべる竹内。
「お前に興味があるんだ。」
「は?」
郁子が私の代弁をする。
「好きだからとかじゃなく、興味~?なんですか、それ!」
「おかしいか?」
「おかしいですよ!」
思わず私は笑い出した。
「だ、だいたい講師が生徒に手ぇ出していいんですか?」
「まだ手は出していない。」
「はぁあ?」
ヒートアップする郁子がおかしくて笑いが止まらなくなる。
「リカっ!他人事じゃなくてあんたの話でしょうが!」
「あはは、ごめんっ。」
「後藤、真面目に考えといてくれ。」
「ちょっとっ!逃げるな~!」
私達から去っていく竹内にいつまでも文句を言う郁子。
「リカ!本気にしたらダメだよ!何アイツ!チャラ男!」
「あはははは、ウケる。郁子熱くなり過ぎ~!」
「あっついよ!本当マジムカつく!ちょっとだけイケメンだからって何アイツー!」
あれ…?
今、何か引っかかった。
「イケメン…かな?郁子のタイプ?」
「全然っ!」
なんだろう…この感覚。
前にも感じた気がする。
一瞬、あの渚という子の事が頭をよぎった。
『竹内先生がここの大学に戻ったから、ここに入学したの?』
あの子が言った言葉を思い出す。
そうか…あの子は竹内先生が好きだったのかな。
「リカ?」
「んーん、帰ろう。バイト前に着替えに帰りたいし。」
「うん、帰ろう帰ろう!」
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