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知りたくない、思い出したくないと思っているのに…自然と情報が入ってきたり関わってくる人々。
私はいずれ全てを知ってしまうんだろうな。
その時、私は強く立ち向かう事ができるだろうか。
どんな私であったとしても、今の自分のままでいれるだろうか?
今がどんなに不安でも、怖がっても、きっと知ってしまう。
その時を一人で迎えるのは、正直怖い…
「私、決めた。」
「んんっ?なに急に?」
「あの人と付き合ってみる。」
「はあ?リカ?正気?」
ふふっと笑う私に郁子が唖然としている。
それが正解なのか、間違いなのかはわからないけど…私の事を少しでも知っている人がいてくれたら、心強いかもしれない。
「リカ~っ、ねえ本気~?」
「うん。」
大きな溜息をつく郁子と別れ、走り出す。
ほんの少しだけウキウキしている。
見知らぬ過去の自分が追いかけて来るけど、私は前に走り出す。
過去の自分は今の私を追い抜けない筈だから。
ポツリ、ポツリと雨が降り出す。
「ええっ?もーっ!傘ないのにっ!」
段々と強くなる雨足。
すれ違う男女の話し声。
「やっぱ雨女だろーっ!」
「違うったら!あんたが雨男なんでしょー!」
えっ?
ーーーいま…なんて…
立ち止まり振り返る。
男女は仲よさそうに一つの傘に肩を寄せ合って去っていく。
私はそれを不思議な気持ちで見えなくなるまで見つめていた。
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