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ある日、私は大学の講義が終わってアルバイトが休みの日に、麻衣と会っていた。
私が麻衣と会うときは、女装していることが当たり前のようになっていた。
麻衣に女性ホルモンの摂取の話をすると、麻衣からは反対された。
麻衣は、
「ひろは、女性ホルモンを摂取しなくても、十分きれいだよ!
女性ホルモンを摂取して、ひろの体に副作用が起きることが心配だよ!」
と話してくれた。
私にとって、麻衣の意見は重たかった。
麻衣は、いつも私のことを心配してくれる、私にとって大切な人だからだ。
だから、麻衣の悲しそうな顔を見て、私は女性ホルモンを摂取することを決断できなかった。
私が男性として生まれたことは運命で、自分自身に言い聞かせて、男性であることを受け入れることが賢明な道なのかもしれないと思った。
そんな時、あるテレビ番組で「MTF(Male To Female)」と「性同一性障害」という言葉が話題となっていた。
世の中には、私と同じ悩みを持つ人が多くいるということを知った。
この番組では、女性ホルモンを摂取したり、手術して女性に生まれ変わる人が紹介されていた。
それぞれの人によって悩みは違うが、これからどのように生きていくのかといった思いや考え方に共感するものがあった。
私の悩みは、ますます深みにはまっていった。
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