第1章

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外国暮らしが長い大学時代の友人が、久方ぶりに俺を訪ねてきた。 大学時代なんやかんやと彼に相談事をしていた俺は、彼が訪ねて来てくれたのをいい機会だと、今悩んでいる事を彼に相談する。 「なあ、聞いてくれるか? どう対応したら良いのか分からない事案があるのだが」 「何か知らないが、僕で良ければ聞くよ」 「ありがたい。 じつは、俺には誰にも言ったことが無い趣味がある」 俺は悩み事を彼に語った。 この趣味にのめり込む事になったのは、俺が新宿に所有する賃貸しマンションに設置されていた監視カメラに、新宿ストーカーOL殺人事件の犯人が映し出されていた事が始まりだった。 この事件の1ヵ月後、世田谷で起きた幼児誘拐事件の犯人が直ぐに捕まり、幼児が無事に保護されたのも、俺の所有する雑居ビルに設置されていた監視カメラの映像が、一役買っている。 事件が解決する度に、警察から感謝状をもらった。 感謝状をもらって気を良くした俺は、所有するマンションやビル全てに監視カメラを設置する。 所有する全ての所有物件に監視カメラを設置したからといって、都合よく事件や事故が映る筈も無い。 そこで、事件や事故が多発する場所の周辺の物件を買いあさり、監視カメラを設置する事にした。
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