1 日常

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「ゆ、許してくれ!お願いだ!」 彼の命乞いも虚しく、聞く耳持たずの青年は彼を蹴飛ばした。 サッカーボールの如く、軽く飛んで行く。 ドサッ... 曇り空の下、人通りの少ない狭い道路のゴミ置場に身体が納まった。 「つまんねぇ。」 時刻は昼過ぎ。 青年は午前中最後の授業が行われている時間に高校へと向かった。 ガラガラッ 「おい、幸村。今何時だと思ってる!」 「・・・。」 ヘッドホンを両耳に付けた青年には何も聞こえていない。 「くっ!」 諦めた教師は授業を再開した。 青年の名は幸村公平。 日々暴力事件が後を絶たない。 授業が終わり昼休みに入ると、彼の周りには謎の空間が空く。 冷酷非情。 誰からも恐れられ距離を置かれる。 ・・・1人を除いて。 「こーちゃん!」 彼は隣の席になんの躊躇いも無く座った。 「その呼び方やめろ。」 「いいじゃん幼馴染なんだし!今更呼び方なんて変えられないよ。」 幸村とは打って変わって無邪気な笑顔で話す。 彼の名前は真田純平。 幸村の唯一の友達。 「それよかさ、今度の野球部の大会出るの考えてくれた?」 幸村は軽く溜息をついた。
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