1人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
「ゆ、許してくれ!お願いだ!」
彼の命乞いも虚しく、聞く耳持たずの青年は彼を蹴飛ばした。
サッカーボールの如く、軽く飛んで行く。
ドサッ...
曇り空の下、人通りの少ない狭い道路のゴミ置場に身体が納まった。
「つまんねぇ。」
時刻は昼過ぎ。
青年は午前中最後の授業が行われている時間に高校へと向かった。
ガラガラッ
「おい、幸村。今何時だと思ってる!」
「・・・。」
ヘッドホンを両耳に付けた青年には何も聞こえていない。
「くっ!」
諦めた教師は授業を再開した。
青年の名は幸村公平。
日々暴力事件が後を絶たない。
授業が終わり昼休みに入ると、彼の周りには謎の空間が空く。
冷酷非情。
誰からも恐れられ距離を置かれる。
・・・1人を除いて。
「こーちゃん!」
彼は隣の席になんの躊躇いも無く座った。
「その呼び方やめろ。」
「いいじゃん幼馴染なんだし!今更呼び方なんて変えられないよ。」
幸村とは打って変わって無邪気な笑顔で話す。
彼の名前は真田純平。
幸村の唯一の友達。
「それよかさ、今度の野球部の大会出るの考えてくれた?」
幸村は軽く溜息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!