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「出ないって言ってるだろ。」
「なんだよー出なって!こーちゃんが求める刺激、あるかもよ?」
刺激という言葉を聞いて少し心が揺れた。
俺は運動、勉強、芸術、何をやっても出来てしまう。
故に何をやっても楽しく無い。
心から楽しいと思える刺激が足りて無いのだ。
「野球なんて簡単過ぎてつまらなかった。」
「それは校内だけででしょ?甲子園とか行ったら、どうなんだろうね。」
高校のトップ。
将来のプロを担う者達。
確かに試してみる価値はある。
「・・・わかったよ。」
「やったー!」
純平は心から嬉しそうに立ち上がって喜んだ。
「野球部の連中に許可は取ってんのか?」
「うちの野球部は弱小校だからね。猫の手でも借りたい状況なんだ。」
俺は猫か、と言葉に引っ掛かったが純平に突っ込むとキリがないから何も言わない。
それからたったの1週間後試合が始まった。
夏の予選、高校最後の大会だ。
この1週間幸村がした練習は、素振り10回程度。
変化球の握り方を教えてもらって、各3回ずつ投げてみた。
・・・それだけだ。
けれども幸村の才能はここでも発揮される。
万年1回戦負けだった高校が余裕で1回戦を突破。
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