1 日常

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そこからは順調に勝ち進み、遂には甲子園優勝を果たした。 高校野球ファンは口を揃えて言う。 「史上最悪の甲子園だ。」と。 幸村は1回戦から甲子園決勝までの全試合ノーヒットノーランをやってのけたのだ。 しかも全打席ホームラン。 全国制覇を決めた瞬間も笑みの1つも見せず、1人マウンド去った。 突然嵐のように現れた奇才・幸村にプロ球団からのスカウトはあったのだが、当然幸村はそんなものに興味はない。 二つ返事で全て断った。 そんな大事件を起こしておきながら、幸村はいつも通りに登校し、周りの反応も変わらない。 「よっ!こーちゃん。・・・やっぱ違かったか?」 「あぁ、簡単過ぎた。」 もっと楽しませてくれるものは無いのか。 俺より強い奴は、いないのか。 「・・・こーちゃん。デザイアゲームって知ってる?」 「デザイアゲーム?聞いたこと無いな。」 いつもおちゃらけた純平は珍しく真剣な表情で語る。 「このゲームは名前の通り、勝ち残るとなんでも欲望を叶えてくれるんだ。但し、それ相応のリスクがあるらしい。このゲームで負けた者は死ぬって噂なんだ。」 なんだこのオカルトな話は。 こんなものを信じる俺では無い。
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