桜の前

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途端に寂しさと悲しさと、そんなことを言う歩に対する怒りやらが混ざった感情が押し寄せてきて息苦しくなった。 (歩がどこかに行ってしまう) そう思った。この桜が連れて行こうとしているのだと。本気でそう思った。 それからは、いつもなら調子よく喋っている歩は真剣な面持ちでずっと黙り込んでいる。俺も何も言うことができず、お互い無言のまま駅に着いてしまった。 結局じゃあ、と言ってそれぞれホームに向かい別れた。
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