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校門を出て駅までの道を歩いていく。
「光は部活とか入んねーの?」
歩が聞いてきた。
「たぶん帰宅部かなー。中学の頃は陸上部だったけど。」
「お前陸上やってたんだ。じゃあ足速いんだなー」
「そんなこともないよ。平均的な感じだったよ。」
と笑いながら答えた。謙遜でもなんでもなく本当に特別速くも遅くもなかった。クラスの中では平均より少し速いくらいだったかもしれないが、体育祭はいつも一番だとか、大会で目立った成績を残したというわけでもなかった。
「歩はどこかに入るの?」
今度は歩に聞いた。
「俺はサッカー部に入るつもり。ずっとやってきたし。」
もう入部届も出してきたんだ、と歩は言った。
「じゃあ今日は部活始まってるんじゃないの?」
「ううん、明日からスタートらしい。新入部員は今日までに入部届出すようにって。」
そうなのか。はなから部活に入るつもりのなかった俺は全然知らなかった。
そのあとは、あの先生は怖そうだとか、今日出た宿題のこととか、クラスの女子で誰それが可愛いいとか、昨日見たテレビの話とかたわいもない話をしながら歩いた。
不思議と人見知りな俺も歩とはすんなり打ち解けることができた。
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