第1章 旅立ち

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厚い雨雲が重たそうに向かってくる。 その雲はこれから起きる戦に勝利して生きている事への嬉し涙となるのか? それとも負けて命を亡くしたり怪我をしたりと悲しみの涙になるのか? ベンは自然によりできた窪みの中に身を隠しながらそんな事を考えながら厚い雨雲を見ていた。 ひんやりとした空気としめっけのある草花と土の匂い 「畜生!」 戦争なんかしたくない俺は医者になりたかったんだそう心で嘆いていたら思わず声を出してしまった。 時が緩やかに流れてベンの周りはいつの間にか白い霧に包まれ先にある川の音が安らぎへと代えていく 『まぁでもここに隠れてれば安全か全軍は俺の前だしいざとなれば後退して逃げてやる』 ベンは恐怖から逃げる言い訳と準備を心に刻んでいた 「おーい!」 「……」 「おーいベン何処にいるんだ!」 霧に包まれ何処に敵の間者や暗殺者がいるかもしれないのに呑気な声で近づいてくる奴がいる ベンは上半身を窪みから出して声の方向を見るとドッサ、ドッサと巨漢な体を揺らしながらルゥーがやって来た。 ベンは慌てて窪みから這い出てルゥーを引っ張って元の窪みへと押し込んだ
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