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運命
放っておいても必ず朝はやってくる。
嫌だとどんなに叫んでも、次の日が憂鬱で仕方がなくても。
「はあ…」
「ちょっと刹那、朝から溜め息とかやめてよ。幸せが逃げていくよ」
朝から何だか気分が乗らない。
まあ、原因は分かっているが。
「女に生まれた時点で私に幸せとかないから」
朝から体調が優れない。
評価を落とすわけにいかないから授業は出なくてはならない、その事が私の憂鬱な気分をさらに促進する。
「本当に面倒臭い」
誰しも体調が優れないことはある。
でも、そんな時気軽に休める制度とかあればいいのに…何て思ったことはないだろうか。
「かなり無理だから保健室行ってくるね」
私は思い足取りのまま教室を後にした。
ガラッ
「先生体調不良で休みます」
そう声を掛けたはいいが肝心の応答が返ってこない。
「いないのかな」
中は朝日が差し込んでいて眩しく、思わず目を細めた。
ベッドの近くの椅子に腰掛けると、微かに寝息が聞こえてくる。
カーテンは開いており、中が少し覗けるような感じになっていた。
光が入って眩しいのではないか、私は開いているカーテンを閉じる為に立ち上がった。
すると、
寝ていたのは同じクラスの彼だった。
「逢坂くん!?」
彼が穏やかな顔をして眠っていた。
私の驚いた声に反応したのか、ゆっくりと体勢を起こした。
「安藤さんじゃん。どうしたの」
「いやこっちのセリフだから」
「俺は疲れたから休みに来ただけ」
要するに彼はサボりという訳だ。
体調が悪い私にとって、たかが疲れたを理由に休みに来るなんて…少々の怒りが湧いてくる。
「そういうの、本当に具合が悪い人に失礼じゃない?」
「先生に許可もらってあるし」
「そういう問題じゃ…」
ガラッ
その時、急にドアが開いた。
「あら、お客さんがいたのね。留守にしてごめんなさいね」
中年の女性が1人、顔を覗かせている。
彼女は保健室の担当教諭だ。
「先生、俺もういいから、彼女寝かせてやって」
彼はそう言うと私の方を指差した。
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