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遂にクラスメイトの五割が不登校になった。
常にがらりとした教室の空気に慣れつつあったものの、クラス内でこなすべき仕事は徐々に増えている。
学内の『不登校改善委員会』に属する人間にとっては苦労の絶えない時代が訪れて久しい。
人々は引きこもりが急増した二一四八年の現代社会を『殻の時代』と呼ぶ。室内に篭もり外に出る事を拒む人間があまりにも増え過ぎた。
まるでカタツムリのように殻に籠る人々。彼らはもはや異端者でも異常者でもない。
今日最後の授業が何事もなく終わり放課後になった時、担任が俺を呼び出して告げる。
「どうしても学校に来ない生徒が居る。出向いてプリントを渡すついでに登校を促しなさい」
普段通り事務的に仕事が割り振られた。「分かりました」と返事をしてプリントを受け取り、俺は帰宅前の寄り道にその生徒の家を訪れる。
担任に伝えられた住所はこの場所だ。街の外れにあるマンションの一室。三階から一望できる景色は高層ビルディングの灰色ばかりだった。
インターホンを鳴らすと、意外にもすんなりと該当生徒が顔を出す。
「……その制服、学校の人間だよね。君は誰だい」
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