第一話 枯れた世界の嘆きが聞こえる

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 彼の瞳に光が灯る。歪な希望に縋りつく人間の空虚な笑顔だった。  「『孤なる者には寄り添い、時に救うべし』。それがボクの行動原理さ」  「その思想……政府非常事態宣言を発令させた『孤なる先導者』のものだ。つくづく指折りの危険団体だな」  「キミは孤独かい?」  「ここで『孤独ではない』と答えれば俺はどうなる」  「死んでもらうよ。理想の世界を作るためだ。脅しでも嘘でもなく、ボクは本当に武器を持ってる」  「お前と同じく俺も孤独だ。敵ではない筈」  「そっか」  彼は右腕を伸ばして俺の手を取った。  「……何のつもりだ」  「『孤なる先導者』ではこうして孤独を満たし合うんだ。握手は友情の証だよ」  男に手を取られるのは奇妙な感覚だった。しかしこの少年は見ようによっては少女にも見える。  柔らかく、温かい。  まるで優しく包み込むような手はたまらなく心地良かった。  少年はにこりと笑んだ。先ほどの仏頂面が嘘のような、ひどく幼気な笑顔だ。  やがて彼ははっとしたように、照れを噛み殺すように口を結んだ。ひどくばつが悪そうに顔を背ける。  「課題、あとは自分で解けるだろ。ボクだって暇じゃないんだから」  「あ、ああ。世話になったな。今日は帰る」  「……また来るかい?」  「多分な。行くとも」
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