はじめてのいせかい

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踊りが終わり、女神様はいつもの屋根裏部屋へと帰っていく。 転生者は司会者なのでまだ舞台にいる。 今しか無い、か。 無念唱で屋根裏部屋へと転移を発動。 「…あら、早かったわね」 「あぁ。女神様、心残りはないか?」 「えぇ、無いわ。早く行きましょ?」 あの日見た女神様の希望の無い目は嘘のように今は希望に満ち溢れた目をしている。 転生者は未だに気付いていない。 さて、記憶を奪っていこう。 「『全ての者の記憶を今此処に 失われた記憶は何処へと 放却の神は微笑み 記憶の神は笑う』《ロストメモリー改》」 元々あったロストメモリーという記憶消去魔法を転生者にさえ効いてしまうように改良しました。 そしてなんとなく気分的に念唱してみた。 魔法が発動し、俺が予め持っていた本が輝く。 題名は女神。中身はこれまであった女神様関連の記憶全て。 「…いるか?」 女神様に本を差し出す。 「いらないわ、貴方が持っていて頂戴」 「はいよ」 空間魔法の一つ、《ボックス》を使い本をボックスの中にしまう。 さて、どこに行こうか。 「…ありがとう」 「ん?…あぁ。依頼、だからな」 本当は依頼なんかじゃない。 ただの頼みだ。 出来れば、そう。そこは俺の意志。 女神様はそこを見透かしているのかもしれない。 全く、神様というのは人のプライバシーを考えてくれない者ばかりだ。 少し嫌になりながら女神様と少し遠くの森に作った小屋に転移した。
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