ただの傍観者

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静かな校舎裏。 そこには一組の男女がいた。 「・・・」 「・・・」 お互いに言葉を発さずに、向かい合いつつも僅かに顔を反らしている。 そのまま十数秒。 やっとのことで男が口を開いた。 「「あの・・・っ・・・」」 しかし、相手の女も同時に言葉を発した為に再び沈黙。 こんなタイミングのいい・・・いや、悪いことがあるだろうか。 狙っていなければきっと出来ない。 またしばらくした後、今度はかぶらないようにと男がゆっくりと手を上げる。 「・・・何・・・?」 それに気付いた女が問いかける。 しかし、折角話せるチャンスにも関わらず時間をかけてしまう。 これは仕方ないこと。 やがて。 「・・・そ、その・・・もし良ければなんだけど・・・」 まぁ、相手も薄々感づいているだろう。 ここまでくれば決まったようなものだ。 「・・・お、俺と付き合ってくれ!好きなんだ、君のこと!」 つい大きな声で想いを伝える。 相手の女は一瞬驚くも、顔を赤くしながらゆっくりと微笑む。 「うん・・・。私も・・・ずっと気になってたんだ・・・」 「え・・・」 結末を見届け、その場を立ち去る。 この先は流石にヤボだろうからな。 仕事を終えたような気分で帰り道を歩く。 ・・・素直に台本を呼んでくれる人でよかった。 緊張してどうなることかと思ったが・・・。
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