生はまこと不義に尽きる

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  1日が終わるのを こんなにも心待ちにしているのは、 いったいいつぶりだろうか。 思わずそんなことに 気付いてしまうほど 私の頭と心はからっぽで、 そして手先も 止まっていた。 正直私の することといえば このフロアの管理と監督で、 データの打ち込みや 下調べは後輩たちの仕事だ。 私はそれらを確認して、 他部署や上との 連携を取るだけ。 ──だけ、 といってもそれくらいの 技量と神経を手に入れるのに 数年かかることは、 私がこの身をもって 実感しているけれど。 「おつかれさまでーす!」 ぼんやりしているうちに、 後輩たちの声が響いて ハッと顔を上げた。 「あっ、 お……お疲れ様……」 .
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