生はまこと不義に尽きる

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  大翔のことなど もう忘れてしまえば いいじゃないかと、 私のだらしなく いい加減な部分が そっと ささやいてくる。 後輩たちがいなくなった フロアを眺め、 溜め息をついた。 待っていろと いうからには、 彼はここに 来るのだろう。 ……私、 いいとも悪いとも 言ってないのに。 けれどキスを 拒まなかった時点で、 まあそういうことなのだと思う。 桃さまとの関係が なんなのか、 私には判らないのだけど。 けれど正直言って、 彼の腕も指も唇も、 私を心地よく させるものでしかない。 大人なんだから 割り切ればいいだけなのに、 ……物欲しげな 自分の想いは止まらない。 「……一服してこよ」 おとなしく待っていれば いいだけなのに やっぱり落ち着かなくて、 私は煙草を持って 休憩スペースへと 足を向けた。 .
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