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「今日なんか、
さっきコーヒー
奢ってもらっちゃった。
意外と同僚に
そういう気遣い
しないやつなんだけど」
「そうですか」
浦川さんは
そこで動きを止め、
煙草をくゆらせながら
じっと私を見上げる。
「や、
きみのせいだと──
俺はそう
言っているんだけど」
「え?」
「杏ちゃん、きみ
“鈍い”って言われない?
きみの年齢で、
そんなで大丈夫?」
「……」
……失礼な人だな。
思わず言葉を
失っていると、
浦川さんはあからさまな
溜め息をついた。
「だからね、今日昼過ぎ、
会ったんでしょ」
「はあ」
「そっから異常に
機嫌がいいの。桃の」
.
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