スマホロイド起動

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「雄ちゃんと口論、したくない」  麗奈は身をのりだして、雄一を制した。 「何か飲まない?」 「そうだな。ひといき入れようか」  雄一は空漠とした眼差しで、麗奈と向かいあった。麗奈の瞳孔にくっきりと浮かぶのは、心底からの恐怖だった。 「麗奈、怖がらなくていい。僕は何もしないから」  雄一はサイドボードに組み込まれている冷蔵庫に歩み寄った。  清涼飲料水のペットボトルを2本用意して蓋をあけた。 「2日間の休息は誰もじゃましに来ない。そういう約束だ」  雄一はよく冷えた飲料の一つを麗奈に手渡した。 「それって、雄ちゃんが去勢するかどうかの猶予でしょ。まだ間に合うわ」 「おれの決心は固い。君とは戦わない」 「じゃ、わたしは誰と戦うの?」 「おれじゃない、誰かとだ」 「押し問答ね。それじゃ、こうしましょ」  麗奈はペットボトルの中身をひとくち飲むと、羽織っていたバスローブを肩から静かに落としていった。  やわらかなローブはふわりと床に広がった。  白いまろやかな肉体に、雄一の視線が釘づけになった。 「あなたはあそこで、わたしと戦うのよ」  麗奈はなめかしい眼差しで、メイクされたベッドを眺めた。彼女は雄一の前まで来ると、立ち止り、彼のバスローブに手をかけて、ゆっくりと脱がしはじめた。  麗奈は全裸になった男の胸に、桃色の舌を這わせた。彼女はひざまずき、桃色の舌をさらに下方へ移動させていった。  男のそれは天空を仰ぎ、麗奈を受け入れようとしていた。  クリームのようになめらかな白い肩に、男の手の手が触れると、麗奈はそれを唇に含んだ。蜜よりも甘い愛撫は、無限の悦楽を予感させた。  二つの肉体は絡み合う樹木のように、ベッドに倒れこんだ。  時間が過ぎ、夕刻の日が斜めに差し込んできても、儀式は終わることなく続いた。  
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