1/20
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

『よーしパパ、猫に憑依しちゃうぞー』  公園は集まった霊たちで人だかりができている。平日の昼間にもかかわらず、憑いーとからわずか五分で三十か四十体の浮遊霊が集まるあたりよっぽどヒマなんだろう。霊たちに平日も休日もないがね。  くだんの憑いーとをしたおっさんは猫と睨みあっている。 「さっさと行けや!」  誰かが飛ばした野次に、身を跳ねさせるとおっさんは歯を食いしばって猫に飛びかかった。  シャッター音が連続し、おっさんの体は猫に入り込み見えなくなる。どよめきが起こったのも束の間、猫の体からおっさんが弾き出された。  地面に倒れたがすぐに目を覚ます。その場にあぐらをかいて呆然とひと言。 「な、何が起こったんだニャ」  顔を洗う仕草をするおっさんにシャッター音が連続し、笑い声が巻き起こった。  俺は幽体離脱をしては、霊たちの世界を見てまわっている。霊体での移動は壁をすり抜けたりできるのでよっぽど楽だし、いくら走っても疲れなかった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!