運命はここからハジマル~プロローグ 壱-序~

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それは高校二年生のことだ。 HRを終えた僕はいつものように、いつもと同じように靴を履いたら家に帰ろうと思っていた。 実際のところ最近は暇で面白いことがなくてつまらない。この中条高校に入学する前は受験勉強、入ってからも少しではあったが新しいこともあり、それなりに楽しかった。 でも、今の自分を見てみると、帰るときは独りだった。別にイジメに合っているとか、そういうのではない。ただ、僕自身が人間に関わりたくないから独りでいる。たった、それだけのことだ。唯一の友達と呼べたであろう、鳴川深夜も校内のクラブに入部し、本当に誰も頼らなくなった。 《人間なんてただただ哀れな生き物だ》 《人間なんてただただ残酷な生き物だ》 それが僕の考え方だ。 そして、結局往復4時間の道のりを誰とも関わることなく通学することになった。 こんな生活を送っているが、別に嫌という訳ではない。むしろ哀れな人間共に関わらずに済むというのは僕にとっての不純物が全て無くなるのと同じことだ。 別にこれでいい。 この生活でいい。 そのはずだった。しかし、そんな生活を続けていると思考が完璧に人間離れしてしまった。 人間を良く思わない考えは既に人間を悪く考えるようになった。 人間は哀れだと思う考えは人間に対する憎しみに変わっていった。 そして、自分の望んでいない毎日の同じ生活。 全てが自分の思い通りに行くなんて、そんな甘い考え方をする脳は持っていない。ただ、神に裏切られたのだ。全く、それだけのことだ。 でも、そんな僕にも転機が訪れるのだった。 僕はいつもと同じ様に、帰る準備をすると、教室を出て、まっすぐ靴箱の方へ向かった。
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