捨て鉢という男

6/20
前へ
/20ページ
次へ
「何かあるんだな」と察したので、静かにジーッと先生と翼裟くんを見つめることにした。 だけれど、その途端。 何かが歯車が崩れたかのように、 翼裟くんは口元を上げて微笑みをみながら、 「すいませんでした、先生。これからはしません」 悪気もないように謝った。 あたしと周りにいる皆はその言葉を聞いた瞬間、堪えるように見ていた翼裟くんの表情に思わず吃驚した。 翼裟くんが初めて笑顔を見せていて 凄く穏やかだった。 そのことに少しドキッと胸を打たれる だけど笑顔をする翼裟くんはその後何もないような様子で、先生に綺麗な角度九十度を保って頭を下げる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加