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「金かかるならいいや、大体予想つくしね。」
大方、ヤクザかギャングかマフィアか、その辺りの過激集団に襲撃されたんでしょ。
金が払えなかったか、もうけ過ぎたから奪われたか、他の理由かもしれないけど金が絡んでることは間違いないね、無法地帯って怖い。
「そうですかぁ?じゃぁ、仕事の話をしますかねぇ。
…実は、今回は少し特殊でしてねぇ?政府直々の依頼なんですよぉ。」
「……政府の?いったいどういう料簡さ?
あいつら、こっちに関わるどころかこっちに来ることだって嫌ってるくせに。」
「向こうも分かってますよぉ、そんなことは。それを踏まえた上での依頼ですからぁ。
彼らがわざわざこちらの人間に依頼する意味、考えてみたらどうですかぁ?
ま、いずれにせよ詳しい話は本人に聞いてくださぁい。」
「…それもそうだね、じゃ、案内してよ。」
「かしこまりましたぁ。」
オロチはその根暗そうな見た目には似つかわしくない俊敏な動きでバーを出て、そのまま屋上へと飛び跳ねた。シドウもそれに続き屋上へ上るも、現代のニンジャは既に三軒先の屋根の上を走っていた。
相変わらずの気持ち悪い運動性能、人間とは思えないね。
悪態をつきながらも、追いかけるぐらい朝飯前だと走るオロチに追随する。
とても一般人には出せないような速度で朝の街を駆け抜けたニンジャとサイボーグは、最終的に一軒のバーの前に着地した。
ドアの上には”アンプルール”の看板、ここが目的地で間違いないらしい。
先ほどと比べればまぁキレイだ、廃墟と比べるのもいかがなものかと思うケド。
何のためらいも無くドアを潜るオロチ、その後に続くシドウ。
店内ではシックな音楽が流れている、だが朝が早いからか、バーテンダーと呼べそうな人間はいない。
流石に不安になり、平然としている男に一つ尋ねる。
「勝手に入って大丈夫なの?」
「大丈夫ですよぉ、だってワタシのお店ですからぁ。」
「え、マジで?」
「マジですよぉ、どうぞご贔屓にぃ。
で、お客ですがぁ、今は二階に居て貰ってますよぉ。
臭い汚いと口うるさい方ですがぁ、大目に見てあげて下さいねぇ。
何しろ中から来た、政府の高官様ですからぁ。」
ん、んー、嫌いなタイプな気がする。
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