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「…よし、通信完了っと。」
そんなことを呟きながら場違いな猫耳パーカーを被った影は、まるで本物の猫の様に宙を駆けていく。
ビルの屋上を飛び移りながら、車を追跡しつづける。
相方のスナイパーにも連絡したし、当分は追跡するだけだ。
この体は大嫌いだけど、仕事の時には便利だからタチが悪い。
追跡すること数分、標的の車が急停止した。
銃声は聞こえなかったが、狙撃に成功したんだろう。
ボクの仕事は、そいつが死んでるかどうかの確認。
後、報酬の受け取り。
取りあえず、ビルから降りよう。
十数階建てのビルだが、飛び降りても外傷は無い。
やっぱり好きになれないね。
このサイボーグの肉体は。
まずは車に接近、光学迷彩を忘れずにね。
これで生身の人間じゃあまず気が付かない。
そして、窓の銃創から車内を覗き込む。
そこには、黒いスーツに身を包み頭が半分消し飛んだ死体があった。
それと、グラサンのごつい男たちが二人。
両者とも不測の事態に対しての経験が足りないのか、対応に困ってる様子。
そんなんじゃここで生きていくのは難しいと思うけど、そんなことは置いといて死体の確認作業に移る。
…まぁ脳ミソ吹き飛んでるし、心肺も停止してるから確実に死亡だね、うん。
それで、報酬を受け取る際に殺した証拠を持って来いって言われてるんだよね。
ま、面倒だし、死体を持って行けばいいか。
となると、中のグラサンが邪魔になるね、始末しちゃおう。
車のドアをノックする。
中の連中は一瞬揃ってビクッとなり、続いて恐る恐るという風に窓ガラスの外を見るも、当然そこには何も見えない。
…開けてくれるわけないか。
程なくして三つになった死体。
ボクは血でベトベト、早くシャワーを浴びたいな。
気にせず死体の中から標的のものだけ取り出して背負う。
車は爆発する危険性があるから放置、そもそも走るのとそんなに変わらないし。
報酬の受け渡し場所では、既に何人かの若い衆が待っていた。
今回の依頼は敵対勢力の幹部の暗殺。
成功の証拠もあるし、いちゃもんつけられることも無く報酬をもらえた。
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