第三幕:救出の準備は迅速に

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 なるほど、そんなことがあったんだねぇ…。  本人の口から聞いたわけでは無いが、ようやくあの謎に包まれた男のベールを少し剥がせたことに満足感を覚えるシドウ。自分から過去には不干渉と言っておきながら裏ルートで知ってしまったことに罪悪感が全く存在しない訳では無いが、彼もいずれ話すと言っていたしまぁ良いよね、と割り切った。  過去にそんな血生臭い出来事が、それも街の中で起こっていたとは驚いた。外にはそれにまつわる話は一つたりとも流れてこなかったのだが。流れてきても興味持たなかったろとか言わない。  ただ、オトナシを始末するにしても今更感が半端ない、どうして二十年近くも経ってからそんなことを企てたんだろう。…考えられるのは新しい障害が出てきて、それに彼が関わってるってことだけど、その障害は何だって話になる。  後、アイザワさんの立ち位置が分かんないな。  シドウはグルグルと頭の中で思考を巡らすが、暇は暇、大人しく人質をするなんて約束しなけりゃ良かった、と早くも後悔していた。  仕方がないからスリープモードに移行しようかなぁなんて考えていると、今度は見たことが無い肥えたオジサマ(と言うよりもオジイサマ?)がやってきた、その顔は憤怒で真っ赤に染まっている。  彼はシドウの前にズカズカとやって来ると、彼女を口汚く罵り始めた。 「おい!!薄汚いドブネズミめ!!さっさと家の娘を返せ!!」  唾が散った、汚い。彼自身はそんなことを気にする様子も無く騒ぎ続ける。 「大方金目当てだろう!?ふん、浅ましい外のゴミが考えそうなことだ!!」  話してることから考えてこの人がミカゲ議員に間違いないだろう、それよりも『金目当て』?この人はオトナシが関わってることを知らないの?  一瞬でそう判断し、オトナシについては隠す方向で話をすることに決めた。 「貴方がミカゲ議員?娘さんとはずいぶん年が離れてるみたいだけど、もしかして愛人の子?奥さん、よく気づかないね。」  じゃあ煽るしかないよね、楽しいし、知らないことを口走ってくれるかも。  「そんなことあるか!!侮辱も大概にしろ!!」  その様子からは本気の怒りが見える、きっと愛人の子では無いのだろう。にしても似てないけど。 「それなら、奥さんの愛人かな。あの娘、貴方に似てないし。」
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