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「こ…この屑が!!!自分が何を言ったのか分かっているのか!!?」
議院の顔が赤を通り越して黒になった、ずいぶん血圧高そうだけど、血管破裂して死なないかな。
「そりゃあ、自分の発言くらい分かってるさ。……で、全く似てないけど、本当に血が繋がってるの?」
「繋がってるに決まってるだろうが!!」
正直怪しいけどなぁ。
この話題はこれ以上引っ張っても面白く無さそうなので、そろそろ彼が知りたそうな情報を少しだけ晒してあげる。
「ま、ボクにゃ関係ないね、……で、肝心な貴方の娘さんだけど、今は傷一つ無いよ、むしろ元気すぎて困ってた程さ………今は、ね?」
今は、を強調して心底あくどい顔をしたシドウ、元々が可愛らしい顔なので彼女が思うほど怖くは無いのだが、ミカゲ議員には悪魔に見えたに違いない。
その証拠に、怒りでどす黒かった顔は笑えるような速さで紙のように白くなった。
「……こ、この、この人間の屑めが!!!娘に手を出してみろ、貴様を切り刻んで豚の餌にしてくれるわ!!!」
いつの時代の言い回しだろうか、白い顔で無理して怒鳴りつけた声は響くも震えていた。
オトナシが今どうしているかは知らないが、まだ少女を殺してはいないだろう、あいつはむしろ切り札として取っておくタイプの人間だ、それがボクにとっても都合が良いと分かっている。
そこは相棒の察しの良さに期待するとして、ボクはこの豚みたいなおっさんを憤死させてみよう、シドウは暇つぶしの一環としてそんなゲスい事を考えていた。
「ボクには仲間がいてね?そいつが彼女の面倒を見てくれてるんだけど…うん、見境無しなロリコンでもないし、襲わないとは思うケド……ぶち切れて外に放逐しちゃうかもなぁ、あぁ、十四にして貞操の危機だねぇ、箱入り娘が可愛そうに……オヨヨー。」
わざとらしい泣きまねをしながら心にも無いことをペラペラと並びたてるシドウ、だが、それは効果抜群だったらしく、
「き、きさ………うっ。」
言葉を途切れさせ、突然目の辺りに手をやったおっさん、眩暈かな、効果あったみたい、あー、たーのしー。
ケタケタと笑っていたシドウだが、ふと思った、このおっさん、オトナシの親の仇だと。そのくせ自分の娘は大事だと?
その虫の良さにイラッとした、もっとやろう。
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