第三幕:救出の準備は迅速に

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「そんなことより本題ですよぉ、現在のシドウさんですがぁ、鎖で簀巻きにされたまま寝てますねぇ、そりゃぁもぉスヤスヤと。」  気になることをそんなことより、と流されたのが残念ではあるが、確かにそっちが本題だったと思いなおすオトナシ。 「鎖は何製に見える?」  これは重要だ、千切れなくて諦めたなら救出に全精力を傾ける必要がある、が抜けだせるのに捕まったまま、ならばそこには必ず意図がある。さて、どっちだ? 「あれは……ユダル二ウムですかねぇ?光沢が独特ですしぃ?」  ふと、こいつはどこから見てるんだという疑問が浮かんだが、それよりも、 「ユダル二ウムだと?絶対に?」 「九分九厘そうでしょうねぇ、違うんならワタシが知らない金属ですよぉ。」  そっちは後にして、まずユダル二ウムとして話を進めよう。 「分かった、引き続き監視を続けてくれ。」 「了解でぇす。」  その言葉を最後に電話が切れた。  さて、シドウがユダルニウム製の鎖で縛られている、と言っていたな。なら、あいつは何か企んでいるんだろう、以前何事もなくねじ切ったのを見たし、脱出できんはずが無い。寝てるのはエネルギー節約のスリープモードだな。  となると、俺に何を期待しているのか、そこが問題だ。逃げずに助けられるのを待っている、つまり助ければ何かが上手くいく、そういうことだろう。  何だ、何が目的なんだ?  時間にして二秒、オトナシの頭に電光がはしった。  あいつは、シドウは俺にミカゲ議員を殺させるつもりなのか?  もしくは連中を破滅させるか、いずれにせよ俺の復讐を達成させてやろうという肚なのか?  ミカゲ・ユヅキの誘拐の時点ではアイザワが俺の復讐を演出し、便乗して人民を崩壊させるつもりだろうと感じていた。拒む理由も無し、俺もそれに乗ったのだがあれは敵だった、復讐心を煽ってまんまと俺らを捕縛する理由を作ったわけだ。そしてシドウは捕まり、人質と引き換えとすれば、その場に行った俺も始末できる、と。  それを逆手に取り、復讐を達した混乱に乗じて逃げ出そうと言うのか?    オトナシ本人も気づいていないが、口元が歪んでいた。    そして携帯を手に取り、H・Kにメールを送る。 ”カメラについて、明日の午後一〇時に門前道路に。それと……。”
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