第三幕:救出の準備は迅速に

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 日付も変わった明け方、ぐっすりと眠っていたシドウの下に再びアイザワが訪れた。 「おい、起きろ、寝坊助。」 「んにゃ…?………ふぁ、おはよー。」 「いいご身分だな、捕まった犯罪者とは思えん。」 「今日は夜更かしするからね、二度寝だよ。」  舌打ちをしたアイザワさん、目元の隈のせいできれいな顔が台無しだね、きっとまともに眠れてないに違いない。そりゃあ囚人がリラックスしてるのは頭に来るよね、ボクが逆の立場なら殴り倒す。 「で、何の用?こんな朝っぱらからさー、もしかして、暇なの?」 「誰かさんが手足を砕いてくれたおかげでな。」  それならどうして隈ができるのさ、寝なよ、何やってんだよ。  アイザワさんはそんなボクの疑惑に気付く様子も無く、 「通達だ、今日の午後一〇時、貴様とミカゲ氏のご令嬢を交換する、異存は受け付けん。質問は?」  と告げた。 「別になーよ……それ、ホント?嘘じゃない?」 「嘘なはず無いだろうが。」  嘘の反応、ナシ、きっとオトナシも分かってるんだけど、変えられたら彼の計画が狂うしね確認ダイジ。  ちなみに、ボクはこれ知ってた。だから二度寝してたんだし。耳が良いって得だねー。  嫌いなサイボーグボディーが役に立った現実に白目をむいた僕を訝しんだのか、眉をひそめたアイザワさんは 「おい、どうした。」 「別に何でもないよ……。」 「……そうか?じゃあいい。せいぜいノンビリしていろ。」 「そうするよ………あ、ちょっと待って、これ聞いとこうと思ったんだけどさ、この鎖、もしかしてユダル二ウムじゃ無かったりする?」  アイザワさんの表情が変わった、今まで見たこと無い喜ぶ様な顔だった。 「…よく気づいたな。」  声にも隠しきれてない喜悦、ムスッとしていた先程とはまるで別人だ。 「朝気付いたんだけどさ、これ硬すぎるよ、何なんだい?」 「それは言えんな、秘密だ。」 「ま、そーだよねぇ。」  言えるんなら前聞いた時に絶対言っただろうし。 「………まさかとは思うが、それも千切れるのか?」  一転して不安そうな顔。 「時間かければ、かな。一日二日じゃ無理だね。」 「そうか。」  露骨にホッとした顔。  マズいなー、オトナシ知らないよね。  
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