2人が本棚に入れています
本棚に追加
日付も変わった明け方、ぐっすりと眠っていたシドウの下に再びアイザワが訪れた。
「おい、起きろ、寝坊助。」
「んにゃ…?………ふぁ、おはよー。」
「いいご身分だな、捕まった犯罪者とは思えん。」
「今日は夜更かしするからね、二度寝だよ。」
舌打ちをしたアイザワさん、目元の隈のせいできれいな顔が台無しだね、きっとまともに眠れてないに違いない。そりゃあ囚人がリラックスしてるのは頭に来るよね、ボクが逆の立場なら殴り倒す。
「で、何の用?こんな朝っぱらからさー、もしかして、暇なの?」
「誰かさんが手足を砕いてくれたおかげでな。」
それならどうして隈ができるのさ、寝なよ、何やってんだよ。
アイザワさんはそんなボクの疑惑に気付く様子も無く、
「通達だ、今日の午後一〇時、貴様とミカゲ氏のご令嬢を交換する、異存は受け付けん。質問は?」
と告げた。
「別になーよ……それ、ホント?嘘じゃない?」
「嘘なはず無いだろうが。」
嘘の反応、ナシ、きっとオトナシも分かってるんだけど、変えられたら彼の計画が狂うしね確認ダイジ。
ちなみに、ボクはこれ知ってた。だから二度寝してたんだし。耳が良いって得だねー。
嫌いなサイボーグボディーが役に立った現実に白目をむいた僕を訝しんだのか、眉をひそめたアイザワさんは
「おい、どうした。」
「別に何でもないよ……。」
「……そうか?じゃあいい。せいぜいノンビリしていろ。」
「そうするよ………あ、ちょっと待って、これ聞いとこうと思ったんだけどさ、この鎖、もしかしてユダル二ウムじゃ無かったりする?」
アイザワさんの表情が変わった、今まで見たこと無い喜ぶ様な顔だった。
「…よく気づいたな。」
声にも隠しきれてない喜悦、ムスッとしていた先程とはまるで別人だ。
「朝気付いたんだけどさ、これ硬すぎるよ、何なんだい?」
「それは言えんな、秘密だ。」
「ま、そーだよねぇ。」
言えるんなら前聞いた時に絶対言っただろうし。
「………まさかとは思うが、それも千切れるのか?」
一転して不安そうな顔。
「時間かければ、かな。一日二日じゃ無理だね。」
「そうか。」
露骨にホッとした顔。
マズいなー、オトナシ知らないよね。
最初のコメントを投稿しよう!