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「いいわよ、だからほら、早く解きなさいよ。」
「おおせのままに、っと。」
足を縛っていた部分を解き、上の方に縛りなおす。これ以上縛っても何にもならんが余らしてもしょうがない。
ユヅキの歩行を可能にし、自力じゃ起き上がれそうにないので引っ張って起こしてやる。睨みつけられたが今更どうということも無い。
「よし、行くか。」
「どこによ。」
「シドウを助けにだよ。」
「はぁ?あんたバカじゃないの?」
十四の少女にバカと言われた、何がだろうか。
「バカじゃねーよ、お前よかよっぽど賢いわ。……あ、そうそう、ユヅキ、一つお前にも聞いとくことがあった。
お前、多分近いうちに外で暮らすことになるが、どうする?住む場所とか、職とか探しておくか?」
ユヅキの一瞬赤くなった顔が元に戻り、また赤くなった。
「何でよ!!?このあたしに外で暮らせって言うの!!?」
楽しくても屈辱的だと、そこら辺は中の奴らと変わらないんだな。人質だからしかたなく、って理由が使えないもんな。
「きっとそうなるだろう、って話だ。今からお前の父親を奈落の底に引きずり落としに行くが、そうなるとお前は中じゃ暮らし難いだろうしな、今のうちに住居とか決めて外に来れば多少楽になる、つまり善意だよ。」
こんな説明じゃ納得いかなかったんだろう、そもそも、今からお前の親父引きずり落とす、って宣言されたわけだしな、ユヅキも黙っていなかった。
「何で!!?何でパパを貶めようとするのよ!!?しなければ全部丸く収まるじゃない!!!」
「何でって、復讐だよ。俺の一連の行動には全て根底にそれがある。」
冷えた声、ユヅキの紅潮した頬が今度は真っ白になった。
ひねり出した彼女の言葉は震えていた。
「復讐、なんて……止めなさいよ、きっと、虚しくなるだけだわ。」
止まらないと分かっていたんだろう、弱弱しい声だった。
「誰が止めるかよ、虚しい上等、自己満足でも関係ねぇ、その為だけに今日までこんなクソみてぇな世界を汚れながら生きてきたんだ。」
対してオトナシの言葉は熱がこもっていく、興奮して顔は赤く、息も多少早かった。
「こんだけお膳立てされてんだ、据え膳食わぬは何とやら、って言うだろ?」
「それ違うんじゃない?」
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