2人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、どうしたものか。
いや、バーが潰れたことに関してはどうでもいいのだが、これではあの情報屋とコンタクトをとる手段が無くなってしまう。
依頼人を待たせてる、と書いてあったから全力疾走で来たのに、これでは無駄骨じゃないか、ふざけんじゃないぞ馬鹿ヤロー、なんて叫びたい衝動に駆られるも、叫んでも意味が無いと判断した機械仕掛けの理性が口をふさぐ。
…いや、ホントにどうしよう。
「あれぇ?お早いですねぇ、シドウさぁん?」
「ひゃっ!」
背後からの気持ち悪い気配と耳障りな声に、驚いて変な声が出てしまった。
心の中では顔が真っ赤だ、金属の肌は全く色が変わらないが。
心を落ち着け、何事もなかったのように振り返る。
そこにはニヤニヤと癇に障る笑みを浮かべた男がいた。
黒目で長い黒髪をした年齢の分かりにくい顔、オトナシと同じくその髪はべたついてなでつけられている。服装は上下黒くて動きやすい服、以前聞いた話では彼の一族の代々続く仕事服で、ニンジャスーツと言うらしい、胸元のバッチがとても似合わない服だ。
名前は、オロチ、これもニンジャネームって言う由緒正しい名前だって言ってた。
「ひゃっ!…ですってぇ?
いやー、泣く子も黙る殺し屋のシドウさんからそんな声が聴けるなんてぇ、これは大変貴重な経験ですねぇ、帰ってから録音を焼き増しして誰かに高値で売りつけましょうかぁ、アナタはぁ、結構人気ありますからねぇ?」
「消して、火急速やかに消せ。」
「イヤだと言ったらぁ?」
「君をこの世から消すけど?」
「それは怖いですねぇ。
ワタシは死にたくないんでおとなしく従いましょお。」
飄々とそう言ってから、胸元のバッチをいじくり回す男。
ピー、と言う音が鳴った後、それを胸元に着けなおしてから、男はこちらを向いて、
「それじゃ、仕事の話をしましょうかぁ?」
「あ、その前に、ここどうなったの?後、君は今後どこに居るの?」
「んー?
ここに関する情報は…まぁ2000でいいです。
僕がぁ、どこに居るのかって方は、答えときましょうかねぇ。
ここから南西に40キロくらいのぉ、”アンプルール”って言う怪しいバーですよぉ。
そも、クライアントもそこに居ますしねぇ、最終的には向かいますよぉ。」
最初のコメントを投稿しよう!