逃れたい言い訳

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動揺を隠せないほど、あたしの心臓が高鳴ることは、よくわからなかった。 どんなに違う考えをし始めても、頭は彼のことしか浮かばないなんてあたしには不思議で。 なんで?黒髪が少し癖あるようなほんの疑うようなそのカッコイイ姿は。 でもその似ているような彼のフルネームを入学式の時、少しだけ聞いたことがある。 たしか水無月櫂琉(かんなづきかいりゅう)という、名前。 二年生の同じ人物がいるらしく、聞き違えるほど性格が同一人物らしい。 けど、そんなのどうでもよかった。 とにかくどうでもいいこと。 そんなこと考えているより、〝ドキッ〟と心臓が不覚にも鳴っていることだ。 そんな余裕の欠片さえないあたしに目を合わせるその真っ直ぐとした瞳に、ほのかな笑顔を浮かべる彼。
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