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「ところでタマちゃん……さっきから口数少なくなぁい?」
「そ、そんなことないですよ? ……ふぅぅぅ」
「顔色悪いよぉ? 具合悪い?」
「べつに……うぷっ」
「え? ちょ、やだぁ! また酔ったの!?」
「……こぽぉ」
「うぎゃぁぁぁああああ! 今ちょっと中身出なかったぁ!? 待ってて、鞄からすぐにビニール袋出すからぁ!」
「……も、もうダメだ。母さん、孫の顔を見せてあげられなくてごめんなさい……」
「死んじゃダメぇぇぇぇぇ!」
「げ、限界です……ぅ!」
「間に合ったぁ! 大丈夫ぅ? 乗り物酔いのときは遠くの景色を見て――」
「あ、出るぅぅ――ゲボ※☆◆○★◇♯●※■☆◆♯○※■ゴボォルァァァ!」
びちゃびちゃびちゃびちゃ。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。
の、喉が焼けるように熱い。口の中は酸っぱいし、最悪だ。
でも一番最悪なのは……目の前のこの人だろうな。
「うぅ、最低だよぅ……ばっちり見ちゃったよぅ……お昼ご飯、絶対に麺類だよぉ……」
はい。ナポリタンです。
ひーな先輩。なんていうか、ほんとすまんかった……。
酸味のある臭いが充満したゴンドラ内で、僕は床に頭を何度もこすりつけて謝罪したのだった。
この事件をきっかけに、僕のあだ名のレパートリーに「吐瀉王」が加わったんだけど、それはまた別の話……。
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