episode1. 迷いの森

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「・・・誰」  口を開いて出てきたのは、お礼でもなく誰の一言。慌てて口を閉じる。 「はぁ?!誰って、助けてやったのにお礼もないわけ?」  仰る通りで。 「すみません、助かりました」 「へいへい。で、こんな所で何してるわけ?迷子なわけ?」 「見ての通り迷子に決まってるでしょ」 「ふーん」  くすくす笑う男性。何がそんなに面白いのやら。 「次は此処で野宿って訳か」 「え、何で」  男性から出てきた言葉に眉を顰める。どうして私が野宿をしているのを知ってるんだろう。周りには人の気配なんてしなかったのに。 「女で魔法も使わず野宿してるんだぜ?興味湧くだろ?」 「・・・いつから、いつから知ってたの・・・いつから見てたの」 「半年、だな」 「半年?半年も見てたわけ?」  私が街を追い出されてすぐに野宿生活に入ったから、その時から見られてたって事なの? 「実は、良い情報があるんだけど聞きたいか?」 「いい情報?」 「そう、あんたにとって悪くない話」  そう言った男性は私を見てニヤリとした。
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