49人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・誰」
口を開いて出てきたのは、お礼でもなく誰の一言。慌てて口を閉じる。
「はぁ?!誰って、助けてやったのにお礼もないわけ?」
仰る通りで。
「すみません、助かりました」
「へいへい。で、こんな所で何してるわけ?迷子なわけ?」
「見ての通り迷子に決まってるでしょ」
「ふーん」
くすくす笑う男性。何がそんなに面白いのやら。
「次は此処で野宿って訳か」
「え、何で」
男性から出てきた言葉に眉を顰める。どうして私が野宿をしているのを知ってるんだろう。周りには人の気配なんてしなかったのに。
「女で魔法も使わず野宿してるんだぜ?興味湧くだろ?」
「・・・いつから、いつから知ってたの・・・いつから見てたの」
「半年、だな」
「半年?半年も見てたわけ?」
私が街を追い出されてすぐに野宿生活に入ったから、その時から見られてたって事なの?
「実は、良い情報があるんだけど聞きたいか?」
「いい情報?」
「そう、あんたにとって悪くない話」
そう言った男性は私を見てニヤリとした。
最初のコメントを投稿しよう!