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次に私を襲ってきたのは『寒さ』だ。
真夜中、寝巻き一枚で殺伐とした道をさ迷っていれば、あまりの寒さに歩くことすら出来なくなっていた。
何処かにたてられていたスピーカーから近隣の小学校に避難せよとの情報が流れ、命からがらそこへ向かった。
小学校のグラウンドでは大勢の人々が避難しており、私の下宿先に住んでいた仲間も皆いた。三年、四年の先輩の一部は救出活動にむかわれていることを、知った。
本当に凄いと思った。
こんな大規模は災害のなかで、それも、一階は押し潰され、寮は全壊しているというのに、それでもある先輩は自ら考え、皆を助けるために行動しているというのだ。
私がやっていたのは、ただ自分が運良く生き延びれて、ただ棒のように立っていただけ。邪魔でしかなかっただろう。
小学校に集まっていた避難民は寮ごとにわかれ、安否確認を行った後、その場で待機となった。真夜中であるために、変に行動は出来ない。余震は絶え間なく続く。
勇気ある先輩たちは救出活動や毛布を掘り出して、寒さに震える者達に渡していった。私も、その恩恵にあやかった者だ。
渡された毛布にくるまり、グラウンドで寮生と持ち得ている情報を話し合い、共有していった。
すると、何時頃だろうか。
またもや、大きな揺れを感じだ。
そして、何かが崩れる音が耳に届く。
これが、あの大橋が落ちる音だったのか、山崩れの音だったのか。私はいまだにわかない。
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