第 14 章 骨折

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受験シーズンになり、塾内は講師も当の受験生も緊張が続く期間になった。 そんな中の一月末の日曜日、保坂さんと初デートした。 『次は居酒屋で』と言っていたけど、二人とも観たい映画があり、それを楽しんだ。 早めの夕飯を食べて、次の約束をして別れた。 もちろん、お見合いしたことは誰にも言っていない。 三月に結婚式を控えている江子にも、職場の緊張感を乱してはいけないような気がして内緒にしている。 保坂さんとのデートの翌日の月曜日。 江子が私の席にやって来て、何気なく言った。 「今年は結婚式が続くかもよ」 「え?」 江子は講義の合間の休憩時間で、近くの椅子に座っておにぎりを頬張りながら小声になる。
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