第 14 章 骨折

6/21

299人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
二月に入り、月一回の本部への提出物を届けに行った。 その帰り、足首がガクッと曲がり、ビルの階段を踏み外した。 何とか五段下の踊り場で踏みとどまり、そして転んだ。 咄嗟に両手をついた。 そのつき方が悪かった。 左手首に激痛が走った。 転倒の音に気づいたのだろう。 本部から人が出てきた。 階段の上から市田さんの声が聞こえた。 「大丈夫?」 階段を駆け下りてくると、私を助け起こしてくれた。 「はい。ありがとうございます」 そう言ってはみたが、あまりの痛さに左手をかばうように上体を(かが)めた。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!

299人が本棚に入れています
本棚に追加