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「まったく底意地の悪い戦闘訓練だったな」  吐き捨てるようにいったのはクニだった。夕食後の自由時間、テルとクニがタツオとジョージのふたり部屋に集まっていた。クニがぼやいた。 「電気ショックを受け過ぎて、なにも食えなかった。なんなんだよ、全員戦死するまで戦えってさ。腹が立つ」  戦闘訓練はタツオたちの後、3回繰り返された。新任少尉側の4戦全敗だった。「須佐乃男(すさのお)」操縦士候補は全員が戦死したことになる。敵の兵士は補充を繰り返したので、最後まで気力体力ともに充実していた。  ジョージがなだめるようにいった。 「まあいいじゃないか。成績はタツオのところが一番よかったんだから」 「いいも悪いもないけどね。全滅までの時間の長さで一番なんてうれしくもない」  タツオの指揮した第1班が全滅まで45分弱だった。あれほど長く感じたのに、ストップウォッチは冷酷だった。戦闘中は明らかに時間の流れ方がおかしくなるのだ。これで「止水(しすい)」をつかったらどうなるのだろうか。タツオはひとり頭のなかで考えた。
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