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「で、なんだって」 「むこうは逆だったようだ。別に逆光でも、夕暮れ時でもないのに、妙にタツオたちが見にくかったそうだ。何人かが証言してくれた。第一戦の敵方の狙撃手の成績は普段の訓練の60パーセントほどのパフォーマンスだったらしい」  そうか、自分たちはジャクヤが敵兵にかけた呪(じゅ)によって守られていたのだ。テルが口を開いた。 「まあ、結局は全滅させられたけどな。順番もうちらに有利だったな。新任少尉のおれたち相手に50名を超える戦死者を出して、むこうの怒りに火がついた。その後の戦いではなりふり構わず一気に攻め落としてきただろ。最初からあれが正解だったんだが、敵もこちらの手の内を見たかったんだろうな」  確かにタツオたちとの戦闘で、泥沼の塹壕(ざんごう)戦に引きこまれた敵は戦法を変えてきた。半数を一気に突撃させ橋頭保(きょうとうほ)を築くと、2回目の突撃は遠距離と近距離に分かれた全力の2段攻撃になった。その作戦変更が当たり、残りの3戦は短時間でけりがついている。クニがあきれたようにいった。 「まあ当たり前だよな。向こうさんはこちらの17倍以上の兵力がいる。最初から数にものをいわせればよかったんだ。それにしてもなあ……」
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