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私のような孤児にもたまにはラッキーが訪れる。
「舞踏会?」
「そうよ。舞踏会。」
私はスマホをいじるお母様にそう聞いた。そのスマホの画面には舞踏会の招待メール。差出人はサルリベルノ国の王宮。でもこんなメールは珍しくもなんともない。このノンドミア一家は名家であるのでパーティーとかにはしょっちゅう出かけていく。
ラッキーというのは・・・。
「私が行くの?」
「私たちとね。」
「なんで?」
「なんでって、何が?」
「この家への招待でしょ?なんで私まで。」
「15歳になったから参加資格が出たのよ。」
「はあ。」
なんだか釈然としないが喜んでおくことにする。
「わーいわーい。やったー。・・・これでいいですか?」
「無理に喜ばなくていいけど。」
エルシーお姉さまがあきれた目で見てくる。ひどい。
「でも舞踏会であれですよね?食い放題。」
「確かにそうだけどそんな食べちゃだめよ。はしたないと思われるわ。あと食い放題じゃなくて食べ放題といいなさい。」
今度はミーシャお姉さまがヘッドロックをしてくる。堅苦しい。
「ドレスがちぎれるくらい食ってやる―。止めれるもんなら止めてみろー。」
そう言って私は小躍りした。お母様もお姉さまも頭を抱えてしまう。いつもはこんなこと言ったら張り倒されるのに。
もしかしたらその時、私の舞踏会デビューにみんながはしゃいでいたのかもしれない。
それがこの家の運命を変えることになることも知らずに。
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