灰まみれ

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 サルリベルノ国所有で舞踏会のパーティー会場である二ウワ城は山の斜面から突き出るように立っていた。山のふもとにはアンティークな家や店が立ち並び人がひしめきあっている。でも私はもっと都市部のビルがにょきにょき建っている場所にあるものだと思ってたのですごく驚いた。 いったいいつからあのお城はあるのだろう。私はあんなものおとぎ話かアニメでしか見たことがない。 ふと、どうしようもないような違和感を感じた。電気もガスもインターネットもあって、何十メートルものビルが当たり前にあるこの国には、同時にお城や舞踏会や、ノンドミア家のような名家と呼ばれるようなものがあり、王様や王子様もいる。王様は戦争をよくする。 なんだろう。とても変だ。今までそんなこと思わなかったのに。こんな遠くまできたから疲れているのかな。 そんなことを考えていると、 「何をそんなに驚いてるの。さっきから唸り声なんて上げて。」 とエルシーお姉さまが話しかけてきた。私の口からはさっきからヴーヴーと音が漏れている。町に驚いてるわけじゃない。そんなことでこんな変な声上げない。 「このドレス苦しすぎです。何とかして。」  私たちは今、優雅にドレスを着て馬車に乗り、王宮に向かっている。私が着ているのはエルシーお姉さまのおさがりのドレスで、少し時代遅れだけど十分にきれいだ。これを着ろと言われたとき、私は奇声を上げた。嬉しくてだ。  しかしそれはあほかと思うくらいきつかった。  エルシーお姉さまが上機嫌で答える。 「あっらー。私ってルピアが唸るほどに細かったのね。最近また太ってきたから痩せなきゃダメかなー。」 えーい。この鬼畜生が。 「こんなんじゃまともに食べれないじゃない。私の食べ放題を返して。」 「あきらめなさい。頑張ってステキな男性を見つければいいのよ。」 今度はミーシャお姉さまが言ってきた。私は助けを求めようとお母様を見たけどそ知らぬふりで外の景色を眺めている。  私は確信した。この三人グルだ。私の楽しみ(暴走)を止めようとこんなドレスを押し付けてきたんだ。 「わーん。いじわるー。」 「ウソ泣きしても無駄よ。」  平和な笑い声を乗せて、馬車は王宮へと向かっていく。
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